理事長あいさつ


写真 山下理事長

創設者中村裕博士は、いずれは太陽の家の運営を障がいのある人に委ねたいと考えていた。私はポリオの後遺症で四肢に麻痺があり、太陽の家に訓練生として入所した。職業訓練の後、太陽の家と三菱商事との共同出資会社に就職。社長としてその経営を担った後、2018年に太陽の家5代目理事長に就任した。中村博士が指し示してくれた道をひたすら駆け抜けて今がある。だから、今度は私が博士に恩返しがしたいと、日々奮闘している。ひとりでも多くの障がいのある人たちが、自分に合った働き方を見つけて、私と同じように、一仕事した後の心地よさを享受することができるように。

そのために、障がいのある人たちは、障がいを理由に「できない」と逃げることなく、周囲の人々にとって、組織にとって、必要な存在であることを示してほしい。雇用しようとする企業は、障がい者雇用率だけを追いかけるのではなく、障がいのある人の能力を最大限に活かすために知恵を絞っていただきたい。

さらに、太陽の家では障がいのある人や高齢の人に介護サービスを提供している。私たちが提供する介護サービスで不便が解消するだけでなく、活力ある日々に繋げることが太陽の家らしさだと考えている。

近頃「多様性を包摂する共生社会」という言葉をよく耳にする。どんな社会だろう? 車いすでも義肢でも誰も気にしない、振り向かれることのない町。障がいのある人が行けるところを探すのではなく、行きたいところにはどこにでも行ける環境。ひとりひとりの相違を認めながらも障がいの有無で線を引くことのない社会。見果てぬ夢といわれるかもしれないが、私は、そんな社会を希求して、諦めずに進んでいく。

理事長 山下達夫

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