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理事長 中村太郎
新年明けましておめでとうございます
昨年は40年ぶりの本館の建て替え、サンストアの移転新築、杵築市の特別養護老人ホーム、大分市での小規模多機能施設、第四作業棟の着工と、慌ただしい一年でした。
さて、今から20年前の日本パラプレジア医学会(現日本脊髄医学会)の疫学調査では、我が国には脊髄損傷者が既に10万人以上おり、さらに毎年約5千人(人口百万人あたり年間40人)が新たに生まれていると推定され、若年者と高齢者の2つのピークがあると報告されました。しかし最近では、若年者のピークが減少する一方で、高齢者のピークが増加し、一峰性になりつつあるとの報告が散見されるようになりました。高齢者の脊髄損傷者の増加には二つの側面があります。第一は、若年時に受傷した脊髄損傷者が高齢化する問題です。第二は、健常者が高齢化し、頸椎や脊椎に加齢に伴う変化が生じ、頸髄や脊髄が通る空間が狭くなった状態で、転倒など軽微な外力により脊髄損傷になる場合が多くなっていることです。
太陽の家が誕生した1965年当時は、GNP成長率が毎年10%を超えていた高度成長期に当たり、多くの労働力を必要とし、一方で、交通事故の増加と炭鉱落盤事故などの各種労災事故と相俟って脊髄損傷患者が急増し、その対応が大きな社会問題となっていた時代でした。その課題に対し「保護より働く機会を」を理念に、脊髄損傷者の残存機能を最大限に活かして労働力とし、仕事とスポーツで社会参加できることを実現してみせたのが太陽の家だったといえます。
しかし、2012年を迎える今、経済はバブル崩壊後何十年も停滞したまま、急速な少子高齢化により労働力人口の減少が危惧されています。脊髄損傷のみならず、高齢化した障がい者の自立と社会参加をどのように図っていくのかが、これからの太陽の家の大きな課題です。対応の一つとして、太陽の家及び共同出資会社を定年退職された障がい者に、現役時代の経験を活かしてもらう場所としてNPO法人 ジャパン・サン・インダストリーズを新たに設立しました。高齢化時代の障がい者の雇用と社会参加のモデルとなるよう育てていきたいと考えています。
最後に、今年は8月にロンドンパラリンピックが開催されます。パラリンピックは、1948年のロンドン・オリンピック大会開会式と同じ日に、創設者中村裕の恩師であるグットマン博士が、第二次世界大戦で脊髄損傷となった兵士たちのために、ストーク・マンデビル病院内で開いた大会がルーツとなっています。創設者もグットマン博士のもとに留学し、東京パラリンピックを実現し、太陽の家を創設しました。英国政府は、ロンドンパラリンピックを社会における障がい者と障がい者スポーツの位置づけを大きく変えるChanceと捉えていると聞きました。64年ぶりに里帰りするロンドンでのパラリンピックを大いに楽しみにしています。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
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